2022年1月26日(水)、情報処理学会 第22回高齢社会デザイン研究発表会で研究を発表した研究「事例創作オンライン協調学習における認知症見立て知適用過程の分析」が2022年度山崎記念研究賞を受賞しました。
指導教官をはじめ、関係の皆さまのお力添えのおかげでの受賞となりました。関係各位に感謝申し上げます。
本研究は、認知症ケアという正解のない複雑な領域において、専門家が持つ「見立て(アセスメント)」の力を、オンラインでの協調学習を通じていかに習得・適用できるかを分析したものです。
背景と課題
高齢社会において、認知症ケアの質の向上は急務です。しかし、ベテランが持つ「見立ての知恵(見立て知)」は言語化が難しく、従来の研修スタイルでは伝わりにくいという課題がありました。 また、コロナ禍により対面での研修が困難になる中、「オンライン上で、いかにして高度な専門スキルの習得と、学習者同士の深い対話(協調学習)を両立させるか」が大きな問いとなっていました。
今回のアプローチ
「事例を創作する」という能動的なプロセスを通じて、学習者の思考を可視化・分析する手法を導入しました。
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事例創作オンライン協調学習の設計: 単に知識を学ぶのではなく、学習者同士がオンライン上で協力して「事例」を創り出す過程をデザイン。そのプロセスの中で、学んだ知識がどう「見立て」に変換されるかを観測可能にしました。
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知の適用プロセスの可視化: 学習者が認知症の症状や背景をどう捉え、どの情報を優先して判断(見立て)を下したか。その認知的な変遷をデータに基づいて精緻に分析しました。
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高齢社会デザインへの情報学的寄与: 教育工学と情報学の知見を融合させ、オンラインという制約下でも専門性を高めるための「学びの環境デザイン」を確立しました。
結果と反響
本研究は、情報学的な厳密さと高齢社会への実用性を兼ね備えているとして、高く評価されました。
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山崎記念研究賞の受賞: 高齢社会の課題解決に資する情報処理技術の研究として、その新規性と有用性が認められました。
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「学びのデザイン」の汎用性: この知見は認知症ケアに限らず、複雑な判断が求められるあらゆる専門職の「オンライン教育・研修」に応用可能なモデルとなっています。
まとめ:お問い合わせについて
科学コミュニケーター 漆畑文哉は、学会賞を受賞した「オンライン協調学習」や「専門スキルの習得分析」の知見を活かし、高度な教育環境の構築をサポートいたします。
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オンライン研修・学習環境の設計: 単なる動画配信ではない、学習者同士が深く学び合い、専門性を高めるためのワークフロー構築。
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専門知の言語化・マニュアル化支援: 現場のベテランが持つ「暗黙知」や「見立て」を、若手に伝えるための教材・カリキュラム開発。
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高齢社会・福祉分野のICT活用支援: 福祉現場の課題を、情報学・学習科学の視点から解決するための共同研究・コンサルティング。
「オンライン研修の質を劇的に高めたい」「専門的な技術の継承をデータに基づいて設計したい」とお考えの法人・研究機関・自治体の皆様、ぜひ以下のお問い合わせフォームよりご相談ください。