慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム みんながヒーロープロジェクト「新型コロナ予防啓発検討委員会」が作成した、新型コロナ予防啓発ポスター「#キミはどっち」が2021年5月29日(月)から渋谷駅と原宿駅に掲示されました。今回、有志メンバーとして主にキャッチコピーまわりの制作に協力させていただきました。掲示は7月6日(日)まで。
理科教育の現場経験と教育学の研究背景を持つ立場から、専門的なエビデンスを誰もが直感的に理解できるデザインへと「翻訳」した、知の社会実装のプロセスをレポートします。

背景と課題:情報の「正しさ」と「納得感」の断絶
パンデミック初期、溢れる情報の中で「何を信じ、どう行動すべきか」という不安が社会を覆っていました。医学的に正しい情報はあっても、それが市民一人ひとりの日常に寄り添った「納得できる言葉」として届いていないという課題がありました。
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課題: 専門的な対策を「自分事」として捉え、自発的な行動変容(手洗い、うがい、換気など)を促すための視覚的なコミュニケーションが不足していた。
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狙い: 教育学的知見(学習科学)に基づき、情報の優先順位を整理。威圧的ではない、かつ科学的根拠に基づいた「伝わる」デザインを実現すること。
今回のアプローチ:教育学的視点による「情報の構造化」
プロジェクトにおいて、私は専門知を社会に届けるための「ブリッジ(架け橋)」としての役割を担いました。
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「足場かけ(スキャフォールディング)」のデザイン: 「なぜこの行動が必要なのか」という理由を、図解と平易な言葉で構成。受け手の認知負荷を下げ、子どもから高齢者までが共通の理解を持てるような情報の構造化を行いました。
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科学的エビデンスの翻訳: 感染症のメカニズムを損なうことなく、日常の風景に溶け込むようなナラティブ(物語)を構築。ポスターを目にすることが、単なる「警告」ではなく、自分と大切な人を守るための「学び」になるよう設計しました。
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共創による価値の最大化: ナレッジキャピタルが持つプラットフォームと、株式会社コトのデザイン・企画力、そして自身の教育学的知見を掛け合わせ、公衆衛生という社会課題に対する迅速なソリューションを提供しました。
結果と反響:全国へと広がる「安心」の輪
今回のポスターと映像は、新型コロナウイルス感染症でも特に接触感染にフォーカスを当てています。手を常に清潔に保つこと、顔を振れないことが感染予防につながります。特に若者の感染拡大が懸念されている今の状況に対し、渋谷駅や原宿駅を通る多くの方の目に留まり、感染予防の向上につながることを願いました。
本プロジェクトで制作されたポスターは、大きな反響を呼びました。
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反響: 「一目で何をすべきか分かり、安心感につながった」「デザインが優しく、前向きな気持ちで対策に取り組めた」といった声を数多くいただきました。
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成果: 専門的な知見(教育学・科学知)を、デザインを通じて社会の具体的な行動へと変換する「漆畑流の情報の翻訳」の実効性が、社会的に証明された実績となりました。
お声をかけてくださった慶應義塾大学の本田由佳先生、クリエイティブディレクターの元木伸一さんをはじめ、制作に関わる多くの皆さまと一緒にこの活動に参加できたことをこの場を借りてお礼申し上げます。
- 掲載メディア
- 「1時間に平均23回」顔を触る?触らない?「#キミはどっち」をキーワードに、慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアムが渋谷・原宿駅に新型コロナ予防啓発ポスターを掲示!|PR TIMES
- 「目鼻口は感染経路」「Don’t Touch」「#キミはどっち」をキーワードに、慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアムが渋谷の街頭ビジョンで新型コロナ予防啓発CM放映スタート!|PR TIMES
まとめ:支援する「専門知の社会実装」
科学コミュニケーター 漆畑文哉は、教育学の理論を武器に、専門的な情報を社会のニーズに合わせて「正しく、価値ある形」で届けるサポートを行っています。
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専門知の可視化・コンテンツ制作: 研究成果や高度な技術情報を、一般の方が理解し、行動できる教材やメディアへと再構成します。
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公共・企業コミュニケーションの設計: 教育学的エビデンスに基づき、受け手の変容を促すためのメッセージングとデザインをトータルで支援します。
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共創プロジェクトのファシリテーション: 異なる専門性を持つ組織間の「共通言語」を構築し、社会課題解決に向けたプロジェクトを推進します。
専門的な内容を社会へ分かりやすく届けたい、あるいは情報のデザインを通じて社会に貢献したいとお考えの方は、ぜひ以下のお問い合わせよりご相談ください。